Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

『appel vol.4 インタビュー特集|椹木野衣』より

 ところで、美術大生とか、一般に意識的に美術を志す人っていうのは『美術手帖』を主な情報源にしてるわけですが、当然海外の動向に対しても敏感なわけです。で、例えば絵画を目指す人っていうのはその学習過程においてグリンバーグやフォーマリズムについての話、その実践や批判も含めてですが、そうした話をよく口にするわけですけれども、そういった態度っていうのはどこかでこう間違ってるって思われますか?
 フォーマリズムそれ自体の意義が別段間違ってるとは思わないけど、そこで語られてる「フォーマリズム」はほんとうにフォーマリズムなのか? っていう疑問がないまま絶対視しても、それは宗教みたいなもので、よくNHKホールとかで日本語で肌が黄色いことに気付かないままオペラとかやってる滑稽さと変わらないと思うんですよ。本人達は本格派を気取ってるんだけど、客観的に見たらキッチュにしか見えないっていう。それだったらそういう人たちが軽蔑している宝塚とかのほうがよっぽどオリジナルだし世界で通用すると思う。

http://www.bit-rabbit.com/p3main.html
http://www.bit-rabbit.com/p1new.html
高橋辰夫さん
椹木野衣さん


部屋を少し掃除していて発見。
2001年10月22日に行われたロング・インタビューです(つまり「原宿フラット」以後)。
何年かぶりにパラパラ目を通していて、たまたま上記箇所が目に飛び込んできました。
カギ括弧つき「フォーマリズム」(日本式形式主義絵画?)、
宗教(グリーンバーグの翻訳権を押さえながら、一向に訳出せずに引っ張って、
その理論を自説として密輸入していたとも言われている某氏によるモダニズム?)、
宝塚(ついつい宝塚歌劇団の大ファンだという横尾忠則氏を想起してしまいます)といった単語が、
散りばめられているのが、なんとも言えません。
ところで、椹木野衣さんが、アメリカの抽象表現主義絵画について
ある程度紙幅を割いて論じた文章ってあるんでしょうか。
気になるところです。