Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

再録(http://d.hatena.ne.jp/n-291/20080511#p2) *1 *2

■冷戦について
以下、批評誌『REVIEW HOUSE 01』「after words」より、筒井宏樹さんの編集後記。

いま、日本の美術の状況はどうだろうか?この問いについて考えるとき、去年発表された会田誠浅田彰岡崎乾二郎批判の作品を思い起こす。岡崎の絵画を彷彿させるその作品は、タイトルによって名指しで批判が示されており、その露骨さからアイロニーともユーモアとも受けとめられず、もはや笑えないような不気味さだけが感じられた。あえて好意的にこの作品を受けとめるならば、現在の日本の美術界における布置に一石を投ずるものとして考えられるのかもしれない。浅田・岡崎の組み合わせは、村上隆によって企画されたイベント、原宿フラット(2000)の座談会に招かれたふたりであることを想起させる。この討議を岡崎・浅田組と村上・椹木組によるタッグマッチと考えるのは「下司の勘ぐり」であるとして浅田彰によって予め予防線が張られていたが、その後美大に入学し美術を学びはじめた者からみれば、現状はもはや対立構図どころか原宿フラットのような対話さえなく、棲み分けされた状況がいっそう加速化しているように感じられる。90年代に出版された美術の本で印象深いものが2冊ある。それは椹木野衣の著作『シミュレーショニズム』(1991)と、浅田・岡崎編集の『批評空間別冊 モダニズムのハードコア』(1995)。棲み分けされた現況下、この2冊を共に興味を抱くようになるまで少なくともぼくにはかなりの時間を要した。これらの本を跨ぐような開かれた対話の場として機能していた希有な例に美術雑誌『FRAME』(1990-1991)が挙げられるが、現在の閉塞した状況を打開するような新たな対話の場の構築を『RH』によって目指せればと考えている。


>>>批評誌『REVIEW HOUSE 01』関連
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20080227#p3


>>>大谷能生talking about 大橋可也&ダンサーズ - レビューハウスラジオ
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20080425#p4