Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

a-geminiさんのブログ「Liber Studiorum」(現「アンチ福岡伸一BLOG」)より4題

◇ 福岡ハカセの恥ずかしい間違い

福岡ハカセ、大ポカです。

amazonのレビュアーの方が指摘している通り、ミトコンドリア・イヴ(以下、「イヴ」)は約14〜20万年前、Y染色体アダム(以下、「アダム」)は、約6万年前、アフリカに存在していたと言われています。
年代的には倍以上離れていますし、同じアフリカといっても、アフリカのどこかまでは分かっていませんから、「同じ場所」と言ってしまってはまずいでしょう。

このことは、Wikipediaにすら書かれています。

この結果は、2000年にネイチャー・ジェネティクス誌において発表された、スタンフォード大学のピーター・アンダーヒルとカヴァッリ・スフォルツァらのグループによる父親から息子にのみ伝わるY染色体を用いた同様の検討によっても、ほぼ同じパターンが確認された。これはY染色体アダムと呼ばれることがある。Y染色体アダムは6万年前頃に生存していたと見られるが、当然のこととしてミトコンドリア・イブの夫である可能性は無い。

(もしかしたら、アダムとイヴが「同じ頃、同じ場所」に存在した、という研究が存在するのかもしれませんが、福岡ハカセは参考文献を明らかにしていないので確認できません。
だから、こういう本にはちゃんと参考文献を載せておかなきゃいかんのですよ。
それはともかく、そういう研究は存在しないと思われます。
その理由は以下を読んでもらえばわかります。)

「そんなの単なるうっかりミスで、大げさに騒ぐようなことじゃないだろ」と言う人もいるでしょうが、そういうわけにはいかないのです。
その理由は、以下を読んでもらえば分かるはずです。

驚くべきことに、上に書いたような事実は、福岡ハカセが批判していたブライアン・サイクスの『アダムの呪い』(「『できそこないの男たち』(2)」参照)にしっかり書かれているのです。

いま思えば、Y染色体研究にはふたつの驚きがあった。ひとつ目は、Y染色体のなかに遺伝的な多様性を見つけるのが思った以上にむずかしかったということだ。ふたつ目は、Y染色体ツリーからホモ・サピエンスの歴史を推測したところ、mtDNAをもとに行った計算よりも、はるかに近い過去に祖先がいたという結果が出たことだ。どうやらイヴは、アダムよりずっと昔に暮らしていたようだ。突然変異の回数を足して、その平均発生年数を掛けるという計算にもとづくと、イヴが生きていたのは十四万年前で、アダムが生きていたのはほんの五万九千年前ということになる。1990年代後半、この点に注目する研究者はどこにもいなかった。(略)

『アダムの呪い』ブライアン・サイクス

(サイクスは「1990年代後半、この点に注目する研究者はどこにもいなかった」と書いていますが、これは疑わしい。以下のデネットの引用を参照。)

福岡ハカセは、自分が批判した本すら、ちゃんと読めていなかったということになります。

さらに、福岡ハカセがいつも批判するリチャード・ドーキンスもこんな風に書いているのです。

 イヴは誤りへと誘惑する偉大な女であり、私たちは、あらかじめその誘惑に備えておくのがよいだろう。その誤りはきわめて教訓に富むものである。(略)
第二に、イヴとアダムはカップルではなかった。もし二人が出会ったとしたら、途方もない偶然の一致だし、何万年前もの時間を隔てていた可能性も十分ありえるのだ。副次的な論点として、イヴのほうがアダムに先行していたと信じるべきいくつかの独立した理由が存在する。雄のほうが雌よりも繁殖成功率の変異が大きい、つまり、一部の飯が他の雌の五倍の子供を産むことができるのに対して、最も成功する雄は成功しない雄の何百倍もの子供をもつことができる。大きなハレムをもつ雄は普遍的な祖先になるのが簡単である。雌は大家族をもつみこみが雄より小さいので、同じ芸当をなしとげるにはずっと大きな数の世代を必要とする。そして実際に、現代の最も信頼できる「分子時計」が推測するそれぞれの年代は、イヴについてはおよそ14万年前、アダムについては6万年前というものである。

『祖先の物語』ヤン・ウォンと共著

福岡ハカセも、ネチネチとドーキンスの悪口を書くくらいなら、ちゃんとドーキンスの本に目を通しておいたほうが良かったんじゃないでしょうか。

http://a-gemini.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/post-c9a3.html
http://a-gemini.cocolog-nifty.com/blog/cat15218634/index.html(カテゴリー「福岡伸一」)
生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)は読み物としてとても面白かったのですが、
サイエンティストとしての福岡伸一さんは、けっこう微妙だそうです。
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20080110#p2


モーツアルト効果

週刊プレイボーイ」の茂木健一郎インタビューから。

−●●を食べたら頭が良くなるなんて話も多いですが・・・。
「そんなわけねえだろって話ですよ(笑)。『何したら頭がよくなりますか?』とか、『何食べたら頭よくなりますか?』とか、『何食べたら頭よくなりますか?』とか、そういう質問事態が間違ってます。
(略)ひとつの道具でうまくいくほど人生って甘くないでしょ。トンカチだけで家が建ちます?」

……。
厚顔無恥もここまでいくと感心しますわ。

茂木さん、アンタすごいよ!

茂木さん、「茂木健一郎モーツァルト・モード」なんていうCD出してましたよねえ?

http://a-gemini.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/post-249e.html
あいかわらすのドクター茂木。
斎藤環さんに対する応答は、いったいいつになるんでしょうか。
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20080814#p10
http://d.hatena.ne.jp/n-291/searchdiary?word=%a5%c9%a5%af%a5%bf%a1%bc%cc%d0%cc%da%b7%f2%b0%ec%cf%ba


◇ 「プロフェッショナル 脳活用法SP」

寺田寅彦って言うか、昔の中国だな。
それを今更、さも目新しいことのように言われてもねえ。

だから、昔の中国人が「厠上」って言ってるでしょうが。

そのほかにも、やる気を出すためには、「あこがれの人を持つ」とか「小さな成功を大切に」とか、そんなの脳科学を持ち出さなくてもいいだろって。

http://a-gemini.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/post-c7f4.html
脳科学脳?


◇ 子どものころに読んだ本
http://a-gemini.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/post-b1c4.html
リストアップされた作品のうち海外モノは未読のものも多いですが、
小学生のころの読書経験がかなりかぶってます。
「学研まんがひみつシリーズ」で最初に読んだのが『できる・できないのひみつ』というのも同じです。
藤原宰太郎の推理クイズ」という単語も、かなり懐かしいです。