Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

再録(http://d.hatena.ne.jp/n-291/20080519)

■「珍獣 from 極東」扱い



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>>>「馬」や「鹿」といったモチーフは、なぜユース・カルチャーの影響色濃い作品に頻出するのか?
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20080112#p2


■『高橋悠治/1970年代コレクション』(http://www.suigyu.com/yuji/ja-books.html)より

具体的な状況や、ある態度について、こまかい区別をたてて分析することは、いつも有効だ。これに反して、観念のこまかい区別、厳密な定義は二次的な重要性しかもたない。それはしばしば送信のチャンネルをせばめること、前提を絶対的なものとして論理を強制する結果になる。仮定から出発し、それが現象を説明できるかぎり、仮定を定義として固定し、その前提からひきだされた公理と形式論理の法則以外のものをつかわずにひとつのシステムをくみたてる公理論は、矛盾なくすべての現象を説明するとみせかける独断論的方法だ。システムをうけいれれば、定理に系をつけくわえるしごとしかのこらない。アカデミズム。
[P207]

おなじもののいくつもの演奏が同時に、すこしずらされてきこえると、おもいがけない細部がうかびあがり、全体は空間的なひろがりをもつ。これらのずれのあいだにきこえるあたらしい音の関係をとりだし、なぞりながら強調することによって展望がすこしかわる。
[P217-218

 そこで成功作とみなされるものは、ヨーロッパの資源を平面的・装飾的に洗練した小手先の芸だ。メシアンをすこし、ドビュッシーアルバン・ベルク、ここにクセナキス、そこにベリオと、調味料のようにつかいわけ、「孤独な音たちの呼びかわす音空間」や「生の緊張にみちた間」などの<日本的>特徴をわすれず、また根源・時間・空間・宇宙・創造性といった無内容なことばでかざりたてた自作解説をともなう。
 音楽の両面性。日本市場には、ヨーロッパ最新のデザインから派生した点を強調し、ヨーロッパの耳には、なじんだ借りもののひびきにのせて<輸出用>日本美学を切り売りする。
[P229]


◇ Yuji Takahashi 高橋悠治
http://www.suigyu.com/yuji/