Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

宮台真司『終わりなき日常を生きろ オウム完全克服マニュアル』(ちくま文庫)より

オタク文化の影響だ」「SFアニメ世代だ」などというのは、少女文化とシャーマニズムの同一性を語ることで分かった気になる「八〇年代的少女論」と同列の「類似の思考」に過ぎない。私たちは、何か新奇なものが出てきたとき、ちょうど未開人と同じように、かつて存在したものとの「類似」を指摘してもらうと安心しがちである。「類似の思考」とは、そんな「ありがちな心性」に寄生する、社会科学的にはデタラメな納得の図式のことだ。

http://www.amazon.co.jp/dp/4480033769
宮台真司さんによる、この大塚英志さん批判は、
そのまま飯沢耕太郎さんの著書『戦後民主主義と少女漫画』にもあてはまるかもしれません。


>>>飯沢耕太郎戦後民主主義と少女漫画』関連

◇ 微妙な飯沢耕太郎の少女漫画論(7/25:一部改稿&加筆) - 9月11日に生まれて

 著者らしいのは岡崎京子の後にガーリー・フォトが配置されるところだ。

 ただ戦後民主主義という男性原理と、少女漫画に現れた「純粋少女」を対置させるあたりに飯沢の限界が見える。

 著者本人も男性原理や女性原理という「紋切り型」の、「バイアスのかかった言葉」を使うことに抵抗を示しているものの、結局は、

 七〇年代以降の十数年というのは、シャーマンとしての少女による少女漫画、つまり「少女の少女による少女のための純粋少女漫画」が、時代の見えない“風”に押し上げられてはじめて出現した時代です。(p.20)

 みたいな物言いになってしまう。

 浪漫主義的というか神秘学的というか、言いたいことはわかるんだけど、気持が悪い。

 少女漫画というオルタナティブな回路を「純粋少女」などという、感覚的でジェンダー二元論的な「言葉」に回収してしまっていいのか?

 それは、かつて「少女」のイコンとイデアを特権化し、物神として消費してきた「男性原理」とどう違うというのだろうか?

 飯沢は「男性原理」で掬い取れないものに「純粋少女」という名前を与えてカテゴライズすること自体が「男性原理」の発動であることを自覚していない。

「純粋少女」などという陳腐な名称を与えられた瞬間、そのわけのわからないオルタナティブな諸々は「自分が男(女)性だと思い込んでいる人々」にとって「わかったようなこと」にされ、腐り果てていく。

 オレは70年代少女漫画は、制度的・商業的な「少女向け」というセグメントを超えた、つまり回路が外界に向かって開かれたことが、一種の革命だと思っている。

「少女のための漫画」から「少女も読む漫画」へのパラダイムシフトと言い換えでもいい。

http://d.hatena.ne.jp/pecorin911/20090724/1248458030
漫画評論家永山薫さんのはてなダイアリーより。

http://d.hatena.ne.jp/n-291/20090817#p5


はてなブックマーク - 微妙な飯沢耕太郎の少女漫画論(7/25:一部改稿&加筆) - 9月11日に生まれて

amiyoshida マンガ 少女マンガ懐かし本として読んだ。 2009/08/18

http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/pecorin911/20090724/1248458030


>>>飯沢耕太郎「写真家たちのステージ──「写真新世紀」と「ひとつぼ展」」より
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20090819#p3


>>>篠山紀信 ピュアな感性とパワーが「表現者」として自立する時(「写真ブーム」の勘違い/『egg』とHIROMIX/スケベな評論家の虚妄性/「私写真」は新しくない/プロの写真家とは何か)より
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20090829#p4


>>>ガーリーフォト - Wikipedia ※2009年4月1日 (水) 08:01; 61.202.18.21 (会話) による版
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20090829#p3


◇ 終わりなき日常を生きろ / 宮台 真司 著 - 筑摩書房

この本の内容
「さまよえる良心」と「終わりなき日常」をキーワードに、今最も活発な発言を続ける著者が、オウムと現代社会を分析する。社会が成熟し、幻想が共有されなくなった時代、人はそれぞれの物語を生きるようになっている。その後の事件、状況分析を加えたあとがきを新たに付す。

目次
第1章 「オタク論・連赤論・二重組織論・邪宗論」はデタラメ
第2章 「さまよえる良心」がアブナイ
第3章 「終わらない日常」はキツイ
第4章 コミュニケーション・スキルという知恵

http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480033765/