Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

「そう言われれば、似てるかも…今まで意識していなかったけど」(ジェフ・ウォール)

 北斎に捧げた作品をはじめ、彼の作品にはしばしば、はっきりとそうとは示されない過去の絵画(ときに映画)作品とのリファランスが見え隠れする。絵画に言及することに関心はないが、絵画や映画の培ってきた言語は人々との深層で共通する言語を引き出す資源になるだろう、というのがウォールの考えだ。(とはいえ、わたしなどはマネの「草上の昼食」のリファランスとばっかり思っていた「ストーリィ・テラー」に、「そう言われれば、似てるかも…今まで意識していなかったけど」とコメントするするウォールにとっての絵画は相当深い無意識レベルにまで入り込んでしまっているのに違いないのだが)

文/西原みん*1「一瞬の再生力:マイクロ・ジェスチュア」(『STUDIO VOICE』1995年5月号)より。
長谷川祐子さんが世田谷美術館時代にキュレーションした
クロッシング・スピリッツ−カナダ現代美術展1980-94」展のために来日した
ジェフ・ウォールのインタビュー*2をもとに書かれた記事です。
しかし、「草上の昼食」を意識していなかったというコメントは本当なんでしょうか?
ちょっとビックリです。


◇ Past Exhibitions | Jeff Wall - Tate Modern

The Storyteller 1986
Transparency in lightbox 2290 x 4370 mm
Museum für Moderne Kunst, Frankfurt am Main
Cinematographic photograph
© The artist

http://www.tate.org.uk/modern/exhibitions/jeffwall/infocus/section2/img1.shtm


◇ Past Exhibitions | Jeff Wall - Tate Modern

The way in which Wall references iconic paintings from art history is seen here in the poses and positioning of some of the figures. Manet’s Déjeuner sur l'herbe (1863) was one of the sources for both The Storyteller and the later work Tattoos and Shadows.

http://www.tate.org.uk/modern/exhibitions/jeffwall/infocus/section2/detail1-2.shtm


◇ ジェフ・ウォール展 1997年12月13日(土)〜1998年3月22日(日) - Contemporary Art Center/Gallery 現代美術センター・ギャラリー - ART TOWER MITO 水戸芸術館

ブリティッシュ・コロンビア大学で学んだ後、ロンドンのコートールド美術研究所で美術史を修めたウォールは、ゴヤやマネのように、画家自身が生きている時代を描き出していながら、強烈な印象を与えることのできる作品を作るにはどうすべきか、私たちが生きている現代社会にとって意味のある作品とはなにか、を問い続けていました。蛍光灯を仕込んだライトボックスと写真を組み合わせるという発想はそうしたウォールに答えを与えるものでした。

本展出品作品には、代表作『荒らされた部屋』(1978年、カナダ国立美術館蔵、オタワ)、『婦人と医者』(1980-81年、個人蔵)、『語り部』(1986年、フランクフルト近代美術館蔵)、『戦死した部隊の語らい』(1991-2年、個人蔵)、『突風(北斎にならって)』(1993年、テイト・ギャラリー蔵、ロンドン)が含まれています。

企画:ケリー・ブロウアー(オックスフォード近代美術館館長、元ロサンゼルス現代美術館キュレーター)
協賛:ラナン財団、ナショナル・エンドウメント・フォア・ジ・アーツ、カナダ外務省
協力:ロサンゼルスカナダ総領事館、カナダ航空

日程
1997年2月19日ー5月11日 ハーシュホーン美術館(スミソニアン研究所、ワシントンDC)
1997年7月13日ー10月5日 ロサンゼルス現代美術館      
1997年12月13日ー1998年3月22日 水戸芸術館現代美術センター

記念講演会

日時:1997年12月14日(日)14:00から
会場:水戸芸術館会議場
講師:ジェフ・ウォール「なぜ、私の作品には富士山がないのか」
定員:80名(先着順)
料金:500円(当日、水戸芸術館チケットカウンターにて、展覧会チケ ットとは別途お求め下さい)

http://www.arttowermito.or.jp/art/jeffwallj.html
http://www.arttowermito.or.jp/art/

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◇ in print / framing the shot - bookforum.com

Apr/May 2007
Framing the Shot
Jeff Wall’s words pit the art historian against the conceptualist
David Rimanelli

http://www.bookforum.com/inprint/014_01/184

*1:「みん」は王へんに民→「王民」。
  ◇ 曽根裕と西原みん:ロサンゼルス物語 - adrianのブログ(ART iT アートイット)
  http://d.hatena.ne.jp/n-291/20100329#p6

*2:取材日は1995年1月27日との表記あり。