Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

再録(http://d.hatena.ne.jp/n-291/20091002#p5)

BRUTUS 08/15日号 - 雑誌ネット

[features]
BOYS' LIFE──BORN TO BE A PHOTOGRAPHER 少年は写真を撮るために生まれてきた。
ヴォルフガング・ティルマンス 作品&インタビュー「いつでも挑戦する姿勢でいたいね」
ジャック=アンリ・ラルティーグ 写真機は僕らに魔法をかける翼。
ピーター・ビアード 撮りたいものだけを撮るために渡ったアフリカの大地。
イサム・ノグチ 永遠のディアスポラを生きた男の、幸福の記念写真。
奈良美智 僕にとって写真は瞼の裏に映る残像のようなもの。
杉本博司 ハイアートの巨匠による少年写真を発掘!
ホンマタカシ ライカがこんな町で生まれたっていうのがうれしいな。
スティーヴン・ショア 早熟なカメラ小僧が捉えたニューランドスケープ
スレイター・ブラッドリー 大人になることの不安と抵抗を覚えながら揺れ動く少年。
ルイス・ボルツ 殺風景な工業地帯にだって僕たちのアルカディアはある。
ディーン・サメシマ 「ボ−イズ」たちのユートピア、の昼間の素顔。
佐内正史 俺は俺の車を撮る。俺の前の車はマーク2。
クレイグ・マクディーン クルマが好きで好きでたまらない!!
野口里佳 どこまでも遠く、高く。彼方を見つめる遠視者の視線。
森本美絵 忘れられた風景をとどめる寡黙な視線。
フィッシュリ&ヴァイス エアポートは永遠の夏休みを約束するモラトリアム。
大竹伸朗 過ぎ去る時間や思いを一瞬にして定着できる装置。
写真集ガイド
ALWAYS BE MY SIDE ボーイズなカメラってあるんですか?
篠山紀信「人間関係」写真展、報告!

http://www.zassi.net/mag_index.php?id=2&issue=6029


BRUTUS 2004年8月15日号「写真特集 BOYS' LIFE」 (フクヘン。- 雑誌ブルータス副編集長、鈴木芳雄のブログ)

「BOYS' LIFE」というタイトルに込めた思いはひとつには写真男子は元気か?
と思ったという理由がある。2000年の木村伊兵衛写真賞はあの、
長島有里枝蜷川実花HIROMIXの3人同時受賞でガーリーフォト、
ここにあり、という印象をみんながもったものだ。
それ自体は興味深いし、好きな作品もあるのだが、元・写真小僧、
現・写真オヤジの僕としては、男の子たちももっと活躍してくれという思いも
込めて作った特集で、「少年写真」という分野があってもいいかな、と。
「少年写真」というのは別に若い男子が撮る写真という意味ではないのは
わかってくれると思う。ガーリーフォトが家族や日々の何げない一コマを撮ったり、
セルフポートレート、セルフヌードに執着するのに対して、男の子的興味を
つきつめていった写真ってあるんじゃないだろうかということ。
だから、「BOYS' LIFE」というタイトルでありながら、
野口里佳森本美絵という女性写真家の作品も堂々と登場する。
僕の中では少年写真はスタイルであって、撮影者はNo Gender(性別を問わない)、
No Generation(年代を問わない。おじいちゃんだって少年写真を撮る)、
No Genre(写真家であるかどうかを問わない)という3つのNo Gを決めていた。
写真家ばかりでなく、イサムノグチ奈良美智という彫刻家、画家の写真も載る。

という壮大なテーマを立てたのだけれど、ホンネで言うと、実はその年の秋に
ウォルフガング・ティルマンスの大規模な個展が
東京オペラシティアートギャラリーで予定されていたので、それに合わせて、
インタビューを彼のアトリエで取りたいというのと、ホンマタカシ氏と
イカの工場を見に行きたいという素朴な理由があったのも事実。
というのも、ホンマさんは『Casa BRUTUS』の連載コラムで自分の生まれ年と
同じ年に生産されたライカM3を買った話を書いていたので。

で、そのティルマンスとホンマ、それぞれを実現し、それに少年写真を加えて、
この特集を作り、タイトルを「BOYS' LIFE」とした次第。

http://fukuhen.lammfromm.jp/?p=491


◇ "BOY'S LIFE"/BRUTUS - 関心空間
http://www.kanshin.com/keyword/541942


ティルマンス@ブルータス - 周家の食卓
http://shutonsu.exblog.jp/32931/


コンコルド-wolfgang tillmans - [05]
http://ctw.jugem.cc/?eid=374


◇ 写真ブーム〜祭りの後に残るもの - Feel Free ! アナログ・フォト・ライフ Diary

思えば、すでに昨年から兆候はあった。2004年10月より開催されたヴォルフガング・ティルマンスの写真展に便乗・先行する形でブルータスが特集を組んだのが2004年8月15日号の「Boys' Life」。その後、ティルマンス展終了後に「荒木・森山・新宿」展が開催されて2005年の写真ブームの幕は切って落とされた。そして、その後は出版順にざっと以下のような特集が雑誌で組まれたことになる。


エスクァイア日本版2月号「旅する写真家」
スタジオ・ボイス4月号「写真集中毒のススメ」
ブルータス8月15日号「All about Bruce Weber」
ブルータス9月15日号「杉本博司を知っていますか」
エスクァイア日本版11月号特別付録「ブルース・ウェーバー写真集」
Pen 12/1 号 「社会をクリエートする、写真家の仕事」


ざっと並べるとだいたいこんな感じだけれど、まあ、出す方もよく出したものだし、買う方も良く買ったもんだ(笑)。


でも、買っておいてこう言うのも何だが、この写真ブーム、実際に写真をやっている方からすると、何か今ひとつ素直に喜べないというか、「まあいいんだけど、何だかなあ、ムニャムニャ……」と、ついついどこか奥歯にモノが引っかかったような言い方になってしまうのだ。


その原因は今ひとつ自分でも良く分からないのだが、恐らくは写真の大衆化、という点に必ずしも写真の(そして自分の)明るい未来を見出せ得ないからだろう。


言うまでもないことだけれど、あらゆるブームにはやがて終焉が訪れる。今回の写真ブームが終わった時に何が去り、何が残るのか、今この時点で予測することは難しい。ブームにさらわれた後には不毛の大地が広がるばかりなのか、はたまたこのブームが滋養となって新たなる写真のムーブメントが起こるのか。良くも悪くも今年の写真ブームは日本の写真文化史にとってひとつのターニングポイントとなるに違いない。

http://blog.goo.ne.jp/fm628/e/8be743771d63afe675036935d07a622f