■クォーク クォーク クォーク とは 啼かないで
◇ Here Comes Everybody - 鰤端末鉄野菜 Brittys Wake
どこぞのウェブサイトで FW に "Quark! quark! quark!" なる行があるというのだが、それは間違いで、実際にあるのは "three quarks for Muster Mark"というフレーズである。
http://d.hatena.ne.jp/Britty/40960401
「──Three quarks for Muster Mark!」という記述があるのみというのが、本当のところのようです。
↓知らなかったです。。。
◇ Finnegans Wake 2.4.383 - Finnegans Web
──Three quarks for Muster Mark!
Sure he hasn't got much of a bark
And sure any he has it's all beside the mark.
But O, Wreneagle Almighty, wouldn't un be a sky of a lark
To see that old buzzard whooping about for uns shirt in the dark
And he hunting round for uns speckled trousers around by Palmer-stown Park?
Hohohoho, moulty Mark!
You're the rummest old rooster ever flopped out of a Noah's ark
And you think you're cock of the wark.
Fowls, up! Tristy's the spry young spark
That'll tread her and wed her and bed her and red her
Without ever winking the tail of a feather
And that's how that chap's going to make his money and mark!
http://www.trentu.ca/faculty/jjoyce/fw-383.htm
http://www.trentu.ca/faculty/jjoyce/
◇ 『フィネガンズ・ウェイク II』(河出文庫 / 著:ジェイムズ・ジョイス 訳:柳瀬尚紀)
──マーク大将のために三唱せよ、くっくっクオーク。
なるほど彼はたいしょうな唱声ではなく
持物ときたらどれも当てにならなく
だがおお、全能なるミソサザイ鷲よ、空には雲雀が浮かれ鳴く
あの醜面鳥がぎゃあぎゃあとシャツを探すあたりは暗く
染みまみれズボンを探しまわるあたりはパーマーズタウン・パーク?
ほほほほ、抜けっ毛マーク!
おまえはノアの方船から羽ばたき出てきたいちばんの妙ちくりんな老雄鶏の抜け作
なのに若雄鶏ぶってのさばり歩く
鶏たちよ、立て! トリスティは潑剌と若々しくスパーク
彼女を押さえて娶って床入れして赤く突く
羽根の尾ひと振りすることもなく
こうしてあいつは羽振りよく財を築く!
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309462356
http://www.bk1.jp/product/02408141
http://www.amazon.co.jp/dp/4309462359
上記英文の箇所にあたる訳です。
唱声→「しょうせい」、醜面鳥→「しゅうめんちょう」など、
柳瀬尚紀さん訳の河出文庫版は総ルビになっています。
quark の表記が「クォーク」ではなく「クオーク」だったり、
はこぶね(ark)の表記「方舟」でも「箱舟」でも「箱船」でもなく、
「方船」だったりするのが興味深いです。
ちょっと背伸びして買った「I」は読みましたが、
「II」は未だに積ん読の山の一部を構成しています。
テレビを見ない、テレビのために時間を無駄にしない、は確定であるにしても、
ネット見るか/あるいは見ないでその分の時間をフィクションを読むのにあてるか問題。
もちろん後者のほうが、より「文化的」ではあるんでしょうけども、、、*1
◇ フィネガンズ・ウェイク - Wikipedia
英語による小説ではあるが、各所に世界中のあらゆる言語(日本語を含む)が散りばめられ、「ジョイス語」と言われる独特の言語表現がみられる。また英語表現だけをとっても、意識の流れの手法が極限にまで推し進められ、言葉遊び、二重含意など既存文法を逸脱する表現も多い。『若き芸術家の肖像』以来の神話的世界と現代を二重化する重層的な物語構成と相俟って、ジョイスの文学的達成の極と評価される。
しかし、あまりに難解な作品であるため発表当時から賛否両論に意見が分かれ、それまでは最もよき理解者であったエズラ・パウンドでさえ「理解不能」であるとの手紙をジョイスに書き送っている。その一方で、1929年には擁護者たちによる論文集『進行中の作品の結実のための彼の制作をめぐる我らの点検』("Our Exagmination Round His Factification for Incamination of Work in Progress")が出版される。この本の巻頭論文「ダンテ・・・ブルーノ・ヴィーコ・・ジョイス」(「・」が一世紀を表す)こそ、当時大学を出て間もないサミュエル・ベケットの初めて活字になった文章であった。これを機に二人は20世紀の文学史上最も有名な交友関係を結ぶこととなり、ベケットはしばしばジョイスの秘書的な役割をも果たした。
なお、物理学における基本粒子クォークは、この作品の中の鳥がquarkと3回鳴いたというところから、三種類の性質を持つクォーク理論の提唱者であるマレー・ゲルマン自身によって命名された。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%8D%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%AF
サミュエル・ベケットとのエピソードは、よく知られているはずです。
ウィキペディアの「フィネガンズ・ウェイク」の項には書かれていませんが、
この作品はジョイスのパリ時代(正確には1922-1939)に執筆された作品だそうです。*2
ちなみに、陽子や中性子を構成する素粒子「クォーク」の名付け親である物理学者マレー・ゲルマンは、
13か国語を操ることができたようです(ウィキペディアによれば)。
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◇ 柳瀬尚紀『フィネガン辛航紀―『フィネガンズ・ウェイク』を読むための本』(河出書房新社)
http://www.amazon.co.jp/dp/4309007775
◇ 2007-06-01 - 瓶詰地獄
柳瀬尚紀が「フィネガンズ・ウェイク」を翻訳している最中に書いたエッセイを集めたもの。苦労話、インタビュー、高橋源一郎との対談、島田雅彦との対談、翻訳の実践例の紹介など、バラエティーに富んだ内容だった。
柳瀬尚紀の他の著作と同様に、漢字、平仮名、カタカナ、ルビなどを用いて多重の意味を含ませることが出来る日本語の天才ぶりを喧伝するのに余念が無い。
フランスで訳された「フィネガンズ・ウェイク」はジョイス語をそのまま載せることしかできなくて、読めたものでは無かったらしい。アルファベットを使う言語の場合、フランス語ならパリを舞台に、米語ならニューヨークを舞台に、全く新しい「フィネガンズ・ウェイク」を作る他ないのではないか。そして「フィネガンズ・ウェイク」を「翻訳」できるのは日本語だけなんじゃないか、そんなことを思った。フィネガンを読んでもいないくせに。
http://d.hatena.ne.jp/i-ku-ya/20070601/1180714839
◇ 『翻訳はいかにすべきか』 柳瀬尚紀 岩波新書 660円 - 活中エンジニアのお薦めアラカルト 書評とコラムの巻(松永肇一)
http://www.spinnet.jp/hamihami/book/review/kattyu0003.html#1
◇ 今をときめく翻訳家 - 書標 2004.11月号 - ジュンク堂書店 JUNKUDO BOOK WEB
そしてジェイムス・ジョイスの翻訳に触れないわけにはいかない。こちらでは言葉遊びはもとより、膨大かつ多岐にわたる引用が重要な要素となっており、なにより大長編だ。柳瀬訳の『フィネガンズ・ウェイク1〜4』(河出文庫・1260〜1365円)を開いた途端、見たこともない日本語の迫力に圧倒されるだろう。それも全編を通して使われているのが、文字と意味と音を分解し、もう一度組み立て直した特殊な日本語だからなおさらなのだ。
この翻訳については重大な論争があった。ジョイス作品のような難解な小説は、結局そのままを翻訳することはできないから、注や解説で作品の面白さや仕掛けを分かりやすく説明することこそが翻訳だという意見がある一方、柳瀬尚紀は「翻訳に不可能はない」との立場から、あくまで作品をそのまま日本語にすることに拘った。よって柳瀬訳に注釈は一切ない。ジョイスが日本語でこの作品を書いたらきっとこんなふうだったはずだという、難解さそのままの『フィネガンズ・ウェイク』となっている。先の意見に真っ向から反対し、翻訳について熱く語る『翻訳はいかにすべきか』(岩波新書・693円)と一緒に読むと、気の遠くなるような翻訳作業の一端が見えてさらに感動を呼ぶはずだ。他にもジョイス作品では、ある章の語り手を「犬」と訳して話題となった『ユリシーズ』(河出書房新社・1427円〜)もある。
http://www.junkudo.co.jp/syohyo200411/syohyo4-tokushu1.htm
http://www.junkudo.co.jp/shohyobak.htm
※リンクを間違えていました。修正済み。
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◇ 楽しみながら語彙を増やす 「言葉力」を磨く<第5回> 柳瀬尚紀氏 - NBonline(日経ビジネス オンライン)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/skillup/20071026/138699/
◇ ジーニアス英和大辞典_柳瀬尚紀エッセイ
http://www.taishukan.co.jp/item/genius/yanase.html
■「クォークの父」マレー・ゲルマンの誕生日まであと14日/『フィネガンズ・ウェイク』以前に「クォーク」 ※2008-09-01
◇ ブラジルで蝶が羽ばたくと、テキサスで竜巻が起きる - 今日のひとこと Today's Topics 時空を超えて。大戦回顧録。
1929年9月15日、この日、ニューヨークでクォークの父といわれるユダヤ系アメリカ人物理学者マレー・ゲルマン Murray Gell-Mann が生まれた。
1969年 「素粒子の分類と相互作用に関する発見と研究」でノーベル物理学賞を受賞したが、あの有名なサンタフェ研究所 Santa Fe Institute の設立者のひとりで、また「クォーク quark」の命名者でもある。
ところでこの "クォーク" というのは鳥の鳴き声なのだそうだ。
「ジョイス語」 などと言われる独特の言語表現で有名なジェイムズ・ジョイス James Augustine Aloysius Joyce が書いた最後の小説、「フィネガンズ・ウェイク Finnegans Wake」 の中の鳥が quark! quark! quark! と三度鳴くことから、クォークが三種類の性質を持つのでそのように命名したのだという。
http://homepage3.nifty.com/time-trek/else-net/topics-07-09-15.html
◇ マレー/ゲルマンがクォークという言葉を思いついたきっかけは何ですか - OKWave
マレー・ゲルマンは、ジェームズ・ジョイスの「フィネガンズ・ウェイク」を読む前から、新しい素粒子の名前として「クォーク」という言葉を使っていて、
たまたま、「フィネガンズ・ウェイク」を読んだら、自分の考えた「クォーク」という言葉が“ quark ”というスペリングで書いてあるのを発見して、新しい素粒子を“ quark ”とすることのしたと聞きましたが、マレー・ゲルマンが最初に、「クォーク」という言葉を思いついたのは、何がきっかけなのでしょうか?
http://okwave.jp/qa2401585.html
*1:……っていうか制作なり制作を下支えするリサーチなりに充てろというのが正解。たとえ時間が細切れであるのだとしても。
とはいえ、制作一本に集中できる状況になってくれば、また時間の使い方が変わってきそうですが。。。
*2:ウィキペディアの「ジェイムズ・ジョイス」には、パリ時代(1920年 - 1940年)という項目がありました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%82%A4%E3%82%B9