Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

フランスの移民問題について 京都産業大学文化学部 国際部文化学科 阪口亮介

1、はじめに
私がフランスに持っていたイメージはファッションや文化・芸術などきらびやかなものばかりであったが、ある講義でフランスが今でも植民地を持っているという話を聞き、さらに移民問題やスラムなどについても知っていった。そういった私が持っていたイメージとは逆のフランスの暗い部分を調べたいと思ったのがこのテーマを選んだきっかけである。

2、2005年パリ郊外暴動事件
2005年10月27日夜、パリ北東郊外のクリシー・ス・ボワ市でラマダンを終え帰宅途中であった三人の北アフリカ系の若者が強盗事件を捜査していた警察に職務質問を受け、変電所へ逃げ込み二人が感電死、残り一人も重傷を負うという事件が起こった。死んだ二人は十五歳と十七歳であり、彼らは職務質問に恐怖を感じ変電所に逃げ込んだのである。この事件を受け、「警察が追い込んだ」として移民の若者たちが警察隊への暴動を起こし、暴動の地域はフランスの主な都市に次々と拡がっていった。こうした事件拡大の裏には、ニコラ・サルコジが打ち出した治安対策、移民取締強化策といった抑圧的政策、さらにサルコジの「社会のくずを掃除する」発言などがある。
この暴動の発端となった事件が起こったクリシー・ス・ボワ市などの郊外部は移民の住む団地が多くスラム化しており、失業、差別、貧困などの問題がある。
ここで問題なのは犠牲者となった若者たちは正確に言うと移民ではなく移民の二世であり、「フランス人」といえるはず。しかしそのようなフランス生まれの人々でも社会的区別や差別にあい、貧困と無職の中で暮らさなければならないということがフランスで起きている。

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