Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

Profile 1981-1990 | 写真家 荒木経惟オフィシャルサイト

1981
有限会社アラーキー設立
会社設立と同時に10冊の著書を刊行。本格的なアラーキーブームの到来。
第2回 アラーキズム宣言 ヤマハホール(東京)【個展】
偽女高生リカ 新宿闇市ショップ(東京)【個展】
『女旅情歌』北栄社(発行)仮縫室(発売)【出版】
『写真論』冬樹社【出版】
『写真小説』集英社【出版】
荒木経惟=写真生活』(『アサヒカメラ』増刊号)朝日新聞社【出版】
「ラブホテルで楽写、過激写」「そして、触写……」「妻」「ストロボは、パーティー」など十章による構成。表紙の荒木の肖像写真(木村恒久によるコンピュータ合成)が版元の朝日新聞社内で問題となり、担当編集者が降ろされる事態をまねいた。
『写真劇場 東京エレジー』冬樹社【出版】
『アラキンZ』ミリオン出版(発行)大洋図書(発売)【出版】
S&Mスナイパー』誌上の連載「緊縛写」をまとめたもの。「スナップ・ショットじゃないよ、スナイパー・ショット。スナイパー・ショットっていうのはどーゆーのかってゆうと、(略)〈狙撃者、狙撃兵〉な、殺気があっていいだろー? なーんか、スナップ・ショットって、女々しくてこそドロみたいでヤだろ? これからはスナップっていう言葉もつかうのやめなさい、これからは、スナイパー・ショットよ。」
『女高生偽日記』八曜社【出版】
にっかつロマンポルノの同名作品で映画監督に初挑戦。撮影日記、シナリオ、スティル写真を収録。「写真は空間のフレイミング、映画は時間のフレイミング、時間が加わったわけ、まあ、気分__。」
『イコンタ物語』白夜書房【出版】
父の形見のカメラで撮った写真をコンタクト・シートのままでまとめた一冊。
『ラブホテルで楽写』白夜書房【出版】
写真集ではなく、ラブホテルでの撮影状況を実況ライブ風に収録したもの。
『浪漫写真 私のアリスたち』青林堂【出版】
『ガロ』誌に連載した少女写真を再構成。

http://www.arakinobuyoshi.com/profile/1981-1990.html


◇ ◆水着のヤングレディたち 【荒木経惟ページ】

◆水着のヤングレディたち 複写集団ゲリバラ5
刊年記載なし(1971年)


 複写集団ゲリバラ5とはいったいなんだろう。そのあたりは荒木さんの「天才になる!」(講談社現代新書)に詳しい記載がある。
 「最初につくったのは、「ゲリバラ三銃士」。池田福男っていうのは、スタジオマン。電通の社員じゃないんだけど、オレの専属アシスタントだった。しょっちゅう遊びに来て、そのうちどんどん髪切って、モヒカン刈りから坊主になっちゃった。八重幡(浩司郎)は、電通に出入りしてた下請けの会社の出向社員。その二人に高瀬(芳夫)って、写大から入ってきた生意気なカメラマンでなかなかいけるのと、演劇の台本を書いてた田母上尚久、そいつらを入れ込んで「ゲリバラ5」になった。」とある。

 では「複写集団」の「複写」とは何を意味するのか。
 「要するにね、「複写」っていうのは、よくオレは「ひざまずいて複写せよ」って言ってるでしょう。表現者は向こうなんだよ。表現しているのは被写体っていうことなんだ。だから向こうが表現しているものを複写すればいい。」そして実際に大きなホワイトボードを銀座の歩行者天国などに持ち込み、荒木さんがボードを持ち、ゲリバラ5のメンバーが通りすがりのカップルを「複写」した。
 この「複写」という概念は、当時から現在に至るまで脈々と荒木さんの写真の中に貫かれている。とにかく撮ること。撮れば撮っただけ、写っている被写体がどれだけ豊かな表現をしているかに思い当たるのだ。
 たとえば、この「水着のヤングレディたち」には300人あまりの湘南海岸に海水浴にきた”ヤングレディ”が水着姿で写されている。表紙の写真は文中に載っている馬場喜久代さんと加藤光恵さんのトルソである。「被写体が表現している」とすれば、構成もいらないとばかりに、奥付もないまま終わっている。当時流行っていたのか、ビキニスタイルの水着姿が目立った。
 「一日で一冊作ろうとしたら、枚数を集めるのに一人じゃだめだろ。手分けしないと。だいたい複写だからね、誰がやったって似たようなもんだよ。」という手法である。
 「「いいか、(海から)あがってくる女の子を、みんな撮れ」「絶対に電話番号訊こうぜ、訊くんだぞ」って言って、撮りまくった。」やはり撮影に関するコンセプトは荒木さんが付けているようだ。
 幼稚園生から高校生。20代から30代。果ては70過ぎのお婆ちゃんまでがヤングレディとして複写され、その脇には電話番号や住所、名前まで書き込んである。美人かどうか、スタイルが良いかどうか、ということには一切関係なく、声をかけて写真を撮らせてくれた人がすべて載っているといった趣きだ。
 当時荒木さんを写真の師と仰いだ寺山修司は、この写真集に載っている電話番号にすべて電話をかけた。半分くらい電話口に本人が出たと師匠である荒木さんに報告したという。
 複写集団ゲリバラ5の仕事はほかにもあった。
1.便所<ゲリバラ宣言> 高瀬芳夫
2.水着のヤングレディたち ゲリバラ5
3.Five Girls ゲリバラ5
4.情事 八重幡浩司
5.リアリズム 池田福男
 以上が現在の映像シリーズであるが、実際には4と5は出なかったらしい。
 手元には「Five Girls」があり、オフセット印刷された4人の写真が載っている。巻末に荒木さんが写真を寄せた「股旅お万恋唄」が載っており、これで5人である。

 「おー日本」に解説を書いた内田栄一氏が序文を寄せている。ここではプロの作り手が陥り勝ちな”食べていくための写真制作”によって毒されている写真界を批判した上で、ゲリバラ5の仕事の”鑑賞者として写真を見る目”を捨てない立場を評価している。
”自分はどんな写真を見たかったのか”、”虚偽の写真を見せられてはいないか”などのテーゼが提出され、ゲリバラ5はありのままに複写する撮影手法によって、我々の目の前に「真実の複写として見せてくれる。」と語っている。

http://www.kanroshobo.com/KANROKANRO/ARAKI/ARAKI-BOOK/mizugi.html


◇ SO BOOKS | 複写集団ゲリバラ5 (荒木経惟) / 水着のヤングレディたち | 古本買取

6471 複写集団ゲリバラ5 (荒木経惟

水着のヤングレディたち / 複写集団ゲリバラ5, 1971 / soft / A / \ 300,000

複写集団ゲリバラ5名義で刊行された荒木経惟写真集。序文を鈴木志郎康。自費刊行物第2弾(限定1000部)。荒木経惟による直筆サイン及びイラスト入り。刊行年なりの黄ばみの他は状態良好。

荒木経惟「...海水浴場で女の子が水から上がってくるのをパッーと撮っちゃって、それだけじゃおもしろくないから、名前を聞いて、電話番号を聞いて、一緒に載せてる。実用本の最高のものですよ、これは。」
八角聡仁「寺山修司がこれを見て、実際に全部電話してみたという話がある。」
荒木経惟「そうそう、半分ぐらいは、ちゃんと本物の電話番号だったって言ってたよ...」
ユリイカ臨時増刊荒木経惟特集号『荒木経惟、自作を語る』より)

限定1000部 / 26x18cm / 写真図版点数306点 / 104pp. モノクロ

http://www.book-oga.com/wimages/mizugi.html