◇ 略称 連続射殺魔|A.K.A. Serial Killer - イメージフォーラム/ダゲレオ出版
監督・共同制作:足立正生、岩渕進、野村政行、山崎裕、松田政男、佐々木守
film co-directed and co-produced by Masao Adachi, Susumu Iwabuchi, Masayuki Nonomura, Hiroshi Yamazaki, Masao Matsuda, Mamoru Sasaki
http://www.imageforum.co.jp/video/v-ryks-j.html
http://www.imageforum.co.jp/
1969年製作、1975年公開。
音楽は、富樫雅彦さんと高木元輝さんのデュオ。
◇ 永山則夫連続射殺魔事件 - 無限回廊 endless loop
そのほかに、『略称 連続射殺魔』(監督・足立正生、若松孝ニ、岩淵進、野々村政行、山崎裕、松田政男、佐々木守/1969)がある。下層社会に生まれ育った1人の大衆が<流浪>という存在態においてしか自らの階級形成をとげざるをえなかった時、したがって私たちが永山則夫の足跡を線でつなぐことによってもう1つの日本列島を幻視しようと試みた時、意外と言うべきか、線分の両端にあるところの点として、「風景」と呼ぶほかはない共通の因子をも発見することとなったのである。そしてそれは、この日本列島において、首都も辺境も、中央も地方も東京も田舎も、一連の巨大都市としての劃一化されつつある途上に出現する、語の真の意味での均一な風景であった。私たちスタッフ6人は、1969年の後半、文字通り風景のみを撮りまくった。撮っては喋り、喋ってはラッシュを見、そして再び風景を撮った。作家と観客と批評家の回路が私たちの内部にできあがり、モーターが唸り私たちが確かに私たちのまぼろしの日本地図をこの列島の上にあぶりだした時、映画が完成した。それは一種異様なる<風景映画>であった。(松田政男監督)
http://www.alpha-net.ne.jp/users2/knight9/nagayama.htm
◇ 「都市−文化−記憶」研究会 - 立命館大学大学院 先端総合学術研究科
■第2回企画:2007年3月30日(金)
「風景(論)と都市をめぐって――来るべき民衆=人民のために」
【開催報告】
内容(講演会等のテーマ・報告者・プログラム・参加人数等)
◆企画テーマ:「風景(論)と都市をめぐって――来るべき民衆=人民のために」
◆講師:平沢 剛(映画研究/明治学院大学非常勤講師/『VOL』編集委員)
◆参加人数:23人
◆使用機材:プロジェクター、スクリーン
◆報告趣旨:「1970年前後に、『略称・連続射殺魔』(69)という映画作品を契機に運動的理論として提唱された風景論の検証を中心に、ドゥルーズの『シネマ』の諸概念を導入しながら、映画の可能性、潜在性について議論していきたい。」(平沢)
報告では、「風景論」についての簡単な概説のあと、『略称・連続射殺魔』をはじめ若松(孝二)プロの諸作品をハイライトで鑑賞し、それらに刻印されている「風景論」を導き出す描写/表象の問題系を確認した。その後、ドゥルーズ『シネマ2』で展開されている諸概念を確認したうえで、ジガ・ヴェルトフ集団『東風』などを鑑賞し、映画そのものの構造的問題系と第三世界人民の視点へと向かう方向性との間の関係軸を見い出し、最終的にそれを「風景論」へと再接続することで、<映画>=<世界>そして<人民>への視点を改めて模索するという、極めて刺激的な試みであった。議論では、日本において「風景」という言葉が不可避に抱え持つある種の独特な叙情性が、いかに運動論的に作用し得るのか、また逆にどのような危うさを持っているのかについて、活発に意見交換がなされた。