Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

mkさんの「石版!」より4題



◇ スティーヴン・J・グールド『人間の測りまちがい――差別の科学史』 - 「石版!」

ひとつは現在「自動販売機でコロッケが売っている国(通称、コロッケの国)」で研究に勤しんでおられるAdam Takahashiさん(id:la-danse)が日本を発つ直前におっしゃられた「占星術は、社会学と同じなんですよ」という言葉について。氏、曰く「占星術はある社会現象の原因を星の運行に求める。社会学はそれを社会に求める。現代的な価値観から言えば、社会学のほうが信用がおけるものだと思われるかもしれない。でも、実は両方とも現象とその原因を結びつけるのは主観によってなされたものなんだから、それらは同質なのだ*2」。この占星術社会学の関係性は、骨相学と遺伝子科学の関係性に置き換えても良いように思われる。そして、どちらの関係性においても、現代では一般的に後者が「客観的で」、「信頼され得る」ものとして扱われている。しかし、なぜ後者は信用(信頼)されるのか。「現象」と「原因の推測(意味を与える行為)」の間には、深い断絶があり、現象に対する意味づけには跳躍があるにも関わらず、科学は信頼される。この信頼の基盤とはなんなのか?、とそんな風に思った。

http://d.hatena.ne.jp/Geheimagent/20081008/p1

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アラン・ソーカル&ジャン・ブリクモン
http://d.hatena.ne.jp/n-291/searchdiary?word=%a1%d6%c3%ce%a1%d7%a4%ce%b5%bd%e2%d6


>>>早稲田文学十時間連続公開シンポジウム ニコニコ動画まとめ
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20081024#p2
「ポッド3」後半13:15からの福田和也さんの↓発言より。
「自分の解釈と読みで勝負していくものであって、データに依拠しているってのはそれだけで弱いんですよ。まるっきり」。*1




レディオヘッド@さいたまスーパーアリーナ - 「石版!」

 いまや世界中で最も(メンノンとか読んで『佐藤可士和がさぁ……』とか『茂木健一郎がさぁ……』とか言って、情熱大陸トップランナーが大好きなヤな感じの!)若者に影響力がある、と私が勝手に想像しているバンド、レディオヘッドのライヴになんとなく行ってきた。チケットは結構取るのが難しいとか聞いたけど、知り合いが売ってくれたんで「まぁ、行くか」ぐらいのノリだったからまったく思い入れとかはなく、大変フラットな気持ちで観ていた。ライヴの内容は、最新アルバムの曲を中心に『OK Computer』以降の曲を演奏していた。

http://d.hatena.ne.jp/Geheimagent/20081004/p1

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>>>ブラッド・メルドーレディオヘッド「イグジット・ミュージック」カヴァーほか
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20080731#p7


レディオヘッド
http://d.hatena.ne.jp/n-291/searchdiary?word=Radiohead




グレン・グールド;録音と映像 - 「石版!」

 残されている録音と映像の両方に触れて気が付くのは、どの映像についても録音とは明らかに違った演奏である、ということだ。録音についてはかなり細かい編集が加えられていることもあるだろうが、ときに(録音と映像とがほとんど同時期のものであっても)基本的なテンポ設定からしてまったく異なる場合も存在する。これらはグールドという演奏家が、かなり反ピアニスト的である、と思う所以でもある。また、それは反解釈者であることを同時に意味する。

 通常、演奏家(楽譜の解釈者)は「ひとつの楽譜解釈」を聴衆の前に提示する。しかし、グールドはそれをしない。グールドが提示するのはあくまで「ある・ひとつの・楽譜解釈」なのであり、そこには「別な楽譜解釈」の可能性が常に残されている。その可能性をグールドは隠蔽しない。録音と映像の間に存在する差異は、単なる気まぐれなのではなく、むしろ別な可能性の提示なのである。同じ演奏家がおこなったさまざまなな解釈のうち、どれが「正しいものなのか」、これを聴衆に判断することは不可能であり、選択はほとんど好みによってでしか行われない。その判断不能な状況は、突き詰めれば「正しい解釈が存在しないこと」もまた明示しているように思う。これによってグールドは「ピアニスト=解釈者」である前提を覆す。

http://d.hatena.ne.jp/Geheimagent/20081019/p1

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>>>グレン・グールドのセルフインタビュー
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20080509#p1




◇ アントン・ブルックナーと時間体験 - 「石版!」

(引き続き、チェリビダッケの映像)この退屈と恍惚を、それぞれ「長い時間」と「短い時間」に言い換えても良いかもしれない。この2つの時間をブルックナーはさまざまな手法を用いて操作している。たとえば、長い時間から短い時間へ音楽が推移する際は、同じ音形を執拗に繰り返し、ひとつの山場へと音楽を向かわせていく(これはほとんどミニマル・ミュージックのようにも聴こえる)。頂点へ至るまで期待感を聴き手にいだかせながら――この期待の持たせ方が本当に巧みだ、と思う。

http://d.hatena.ne.jp/Geheimagent/20081022/p1

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>>>「小説、言葉、現実、神」(文:保坂和志)より
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20070715#p8


>>>Leif Inge - 9BeetStretch
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20070308#p9
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*1:モルタル造りの山門をくぐり、本堂の脇から庫裏に抜ける路の左、
  http://d.hatena.ne.jp/n-291/20051231#p9

*2:リンク切れ。現在は↓こちら。
  http://home.swipnet.se/sonoloco9/inge/9beetstretch.html