◇ 批評の書き方 実践編 - 東浩紀の渦状言論 はてな避難版
実際、柄谷行人以降、あるいは批評空間以降の批評言語に親しんでいるひとであれば、じつに多くの書き手が、無意識のあいだにこのようなレトリックに絡め取られていることがわかると思います。というか、柄谷さんがこのフォーマットの創始者です。Xに、ウィトゲンシュタイン、カント、マルクス、フロイト、なんでも挿入してみてください。『探究』はその点から見ると、ミニマリズムのような反復の本です。
このフォーマットをどのように利用すると「深そう」に見えるのか、そしてどのようにまわりに装飾を張り巡らせるか(たとえば政治性があるかのように見せかけるか)、そこらへんのテクニックについては、朝カルの講義で言いました。だから繰り返しませんが、いずれにせよ、ぼくはつねに思うのですけど、批評家志望のひとはまずこのフォーマットを頭に叩き込めば、驚くほど簡単に「批評らしきもの」が書けるはずなのです。いや、実際にそうです、実例がぼくです。20歳代前半のぼくはまさにそのようにして書いていました。