●その0 田中功起(ロサンゼルス)→読者/2010年7月7日●
このメールのやりとりはかつて書かれ、その後公開されることがなかった。「公開」できなかった理由のいくつかはぼくの落ち度にあったので、どうにも気になった。それをひとつのきっかけとして、ぼくはその後「言葉にする」という対話型のポッドキャストを始める。その一回目のゲストがこの書簡の相手、奥村くん。ポッドキャストのなかではこの書簡の要約も試みている。そしてメール往復書簡という形式は、ART iTでの自主企画「質問する」に生かされる。話すことと書くことを通して、言葉にする。制作をするひとにしか話せない/書けない言葉があり、ぼくはそれを用いてひとまずはこの深い森に分け入ろうとしている。それらがきっと批評や歴史、流行の「言葉」を相対化するだろう。「作り手はただ作ればいい」という声が聞こえてくる。いや、だからこそぼくらは言葉にするのだ。言葉にすることは作ることそのものだと思う。
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