Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

Madelon Vriesendorp メモ3 - 洋書日記

しかしこれは、日常を流動した世界として肯定的に見る方法であるから、結果としてできた建物はどこにでもあるものになってしまう可能性もある。これは建築家の作家性を批判するのに用いられる場合もあるが、このようなプロセスに満足してしまうことは作家性による満足とさほど違いはない。コールハースの形態上の嗜好(コンスタンやロシア構成主義)を考えれば、この様な現今のドゥルーズ的な設計方法よりもデリダ的な脱構築的操作を使う方が適当であるのは明白だ。まして複雑系オートポイエーシスの様な理論を適用する様なこともコールハースはしない。何故ならそれこそ何か一つの理論で世界が記述できると考える形而上学的思考であるからだ(DVDのインタヴューでも答えている)。スペクタクルや作家性を否定するのでなく(否定するのであればヘーゲル的な弁証法の枠内にいるままになる)それをうまく乗りこなすこと、現象学的世界の外には行けないのであるから「不在」を現象させること、を戦略的に選んだのだろう。(井戸)

http://orange.ap.teacup.com/kenjiido/765.html
井戸健治さんのブログより。