Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

語り得ないことを語る − 日本におけるイェリネクの戯曲 - Japan - ドイツと日本 - 演劇とダンス - Goethe-Institut

「道徳的なグレーの数値が本当にたくさんあるということ、それは認めよう、それにしてもこれらのパンフレットは色彩豊かだ。だれが処刑者でだれが犠牲者なのかはもはや見えなくなっている。しかし本来それを見る必要はないのだ。というのも、それは分類の問題で、この分類はいつでも変更ができるからだ…」と挑発的に語るのはイェリネクの「レヒニッツ(皆殺しの天使)」で報告者の一人を演じる俳優のアンドレ・ユンゲ。


エルフリーデ・イェリネクは残忍に書く。彼女は小説や戯曲で、国家社会主義ホロコーストの抑圧(『雲。家。』1988、『死者の子供たち』1995)から、資本主義の暗部(『レストハウス、あるいは女はみんなそうしたもの : 喜劇』1994)、女性に対する永遠の弾圧や性闘争(『ウルリケ・マリア・スチュアート』2006、『獣たちについて』2006)に至るまで、日常の衣装をまとって我々の社会に浸透している人間の深淵をえぐり出す。イェリネクは我々の地下室にある屍を、そのすべての腐敗の程度において描き出す − 抽象的に、そして偽りなく。この彼女に特有の「声と反対の声の音楽的な流れ」によって、イェリネクは2004年、ノーベル文学賞を受賞した。

http://www.goethe.de/ins/jp/lp/kul/mag/the/ja10096470.htm