Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

「ゼロ 1950─60年代の国際的前衛」展(サン=テティエンヌ近代美術館)|近藤學 - SITE ZERO

グループ・ゼロは1957年、デュッセルドルフを拠点としていた2人の美術家ハインツ・マックとオットー・ピーネによって創始された集団である。この2人にまもなくギュンター・ユッカーが加わった3名が中核メンバー[fig.01]だが、何らかの形でこの集団に参加した顔ぶれは、イヴ・クラインやルーチョ・フォンターナ、ジャン・ティンゲリ、ダニエル・スポエリといった同世代ヨーロッパの主要美術家から、パリのベネズエラ人ヘスス・ラファエル・ソトら一連の「キネティック・アーティスト」たち、そして日本の具体美術協会までといったように、実に多彩であった。さらに、平面・立体にとどまらず、今日で言うインスタレーション、一連のパフォーマンス[fig.02]など、活動の様態や作品もヴァラエティに富んでいる。この不均質な集団を束ねていたのが、グループ名が端的に象徴している通り、すべてを一度ご破算にしてやり直そうという意志だった。第二次大戦からの復興が依然として急務であったこの時代、ラディカルな白紙還元というゼロの綱領は広く共有されたところであり、作風・思想・国籍などの違いを横断するこの集団の多様性は、こうした事態を具現化していると言えるだろう。したがってゼロを考えることは、戦後前衛美術をきわめて大きな視野から捉えることを意味する。フランス初の包括的回顧となる本展(デュッセルドルフから巡回)もまた、きわめて複雑で豊かなパノラマを呈示していた。

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