Übungsplatz〔練習場〕

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映画/映像のメディウムを読み直す(「映画をめぐる美術──マルセル・ブロータースから始める」展レビュー)阪本裕文(映像研究/稚内北星学園大学情報メディア学部情報メディア学科准教授)2014年05月15日号:フォーカス|美術館・アート情報 artscape

 美術館の展覧会において映像作品や、映像を使用したインスタレーション作品が展示されることは、今やありふれた光景となっている。1990年代後半あたりから増加したこのような傾向は、制作環境の変化から見ると、ノンリニア編集やビデオプロジェクターの普及といった要因によって促されたものだと言える。この「映画をめぐる美術──マルセル・ブロータースから始める」と題された展覧会も、一見すると、そのようなありふれた映像作品の現状を紹介する企画展の一種であるように思われるかもしれないが、そうではない。本展は、虚構の美術館である『近代美術館 鷲の部』シリーズで知られている、マルセル・ブロータースが提示した映画をめぐる思考を参照しながら、映画あるいは映像──以下、本文中では包括的な意味において、便宜的に映画/映像と表記する──を美術の制度内において検討するという、極めて批評的な視点を持った企画展となっている。

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