Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

スキャンダル戦後美術史 - 平凡社

http://www.heibonsha.co.jp/book/b163294.html


◇ 『スキャンダル戦後美術史』を読む - mmpoloの日記

 大宮知信『スキャンダル戦後美術史』(平凡社新書)を読む。8年前の2006年初版発行だが内容はあまり古びてはいない。戦争画を描いた画家たちの問題、贋作騒動、読売アンデパンダン展の評価、絵画バブル、叢生した地方美術館のその後、美術大学の問題点などが取り上げられている。すべてがスキャンダルというわけではないが、すべてが問題であることは確かだろう。


 戦時中描かれた戦争画はいったんアメリカ軍に接収されたのち、現在は永久貸与という形で日本に戻されている。東京国立近代美術館に収蔵されているが、外国との関係で大規模な公開はまだ行われていない。一時、宮本三郎の「シンガポール陥落」が展示されたことがあったが、イギリス軍が白旗を掲げている絵柄を問題にしてイギリス大使館からクレームが付けられたことがあったという。現在は常設展に数点ずつ展示されている。ぜひまとめて公開してほしい。


 贋作では国立西洋美術館が、滝川太郎の描いた西洋名画の贋作を多数収蔵していることが紹介されている。滝川太郎はわが師山本弘の先生だった。熊谷守一の贋作が出回ったことにも触れられている。以前講演で椹木野衣が、熊谷の贋作は美術館にも画集にもたくさん紛れこんでいると話していた。さらに某美術館の超大物画家の作品が贋作だとの噂も以前から囁かれている。

http://d.hatena.ne.jp/mmpolo/20140725/1406256308