飯野正仁 編者
【編者略歴】
飯野正仁
1954年山梨県甲府市生れ。京都大学文学部大学院博士課程(美学美術史学専攻)修了。山梨県立美術館学芸課、同県立文学館資料情報課に勤務。現在、山梨英和大学非常勤講師。『戦時下日本の美術家たち』第1輯(猫町文庫、2010年)。「〈満洲美術〉年表」(『「帝国」と美術 一九三〇年代日本の対外美術戦略』、国書刊行会、2010年)。現在、月刊『あいだ』に、「戦時下日本の美術家たち」を連載中。
【本書の特徴】
近年注目の集まる「戦時下」という時代、そして、アジア圏における近代日本美術研究。
しかし、当時の出版界全体がそうであったように、美術雑誌の世界もまた、統廃合の煽りや数々の制約を受け、実際に生き残ることができた雑誌の総数自体少なく、「戦時下」に絞っての主要な資料の蓄積・集成・公開は、これまで困難とされてきた。
本書では、「戦争」と「美術」のかかわりに焦点を当てながら、当時の印刷物から関連記事・図版を博捜・収集。1930年から1945年、そして戦後までの日本近代美術史の動向を、年・月・日順に概観可能となるよう年表形式にまとめ、戦時下日本美術史の輪郭を形づくることを試みた。
本書が「戦時下の歴史の欠落を埋める基礎資料」のひとつとなり、今後の調査研究の手掛かり・足掛かりとして活用されることを期待したい。