Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

「アトピックサイト」展(1996年)関連

◇ Open letter for Atopic

この公開質問状は、1996年8月に東京国際展示場(通称ビッグサイト)において行われた展覧会「Atopic Site」、「On Camp / Off Base」に対する「検閲」問題に関するもので、主催者、キュレーター、参加作家をはじめとする関係者、およびメディア関係者に対して発送され、またホームページ
http://www.asahi-net.or.jp/~ee1s-ari/ap.html
において公開されます。
この公開質問状の意図は、まず、何が起こったのか、事実関係を明かにすること 、ついで、何が問題とされるべき点であるのかを明らかにすることにあります。今 回の出来事に関しては、情報の不足から、事態の全体像を描くことが容易ではありません。まずそのことについて、関係者から誠意ある回答を求めたいと思います。 また、今回のこの展覧会に関わるものの立場の違いは、事態の本質が何であるのか ということの理解に決定的な影響を与えています。そこで、多くの方々から各自の 立場で「このような点が問題なのではないか」という意見を寄せていただきました 。それを整理してひとつの見通し−−「正しいものの見方」−−を提出することは 私たちの任ではありませんし、そのようなことには意味がないでしょう。そうではなく、今まで芸術や、また、芸術と社会との関わりを論じる際に前面には取り上げ られなかったような観点からの疑問点を示したいと思っています。今回の出来事を 問題化する視点の豊富化が、私たちの課題のひとつであると考えます。 
今後も、地方自治体が財政的にバックアップした現代美術の展覧会は続くでしょう。そのときに今回のような事態を引き起こさないために(今回のこの企画に参加 したかしないかに関わらず)キュレーターであれ、作家であれ、いかに考え、行動 するべきかの一助になればと思い、公開質問状を作成、送付する次第です。したが って、ここでは、個人の責任追求が主たる目的ではありません。
回答は、文末に記載した住所またはメールアドレスに6月20日までにお送りください 。またその際、回答を上記のホームページに掲載することを了承ください。どうか 、皆様のご理解とご協力をお願い致します。

http://www.araiart.jp/ap.html


◇ censorship of ATOPIC SITE

 私はATOPIC SITEにおける東京都の検閲行為に抗議します。

(以下転載)
現在、東京の湾岸副都心で「湾岸プロジェクト」(正式名称は、TOKYOシーサイドフェスタ'96アートプラザと言い、「アトピック・サイト」「オン・キャンプ/オフ・ベース」「TOKYO・アート・ゾーン」の三つの大きなイベントを含むが、主としてここで問題になっているのは、前二者である)という大規模な美術展が開催されています。この展覧会では、当初からさまざまな都とその代理店である電通博報堂による作品の検閲や、作家に対する「自主規制」の強要が行われている模様です。
 このなかで、沖縄からの出品について、次のような「検閲」がありました。展覧会のキュレター(展覧会の作品展示全体に責任をもつ人たちで、柏木博、岡崎乾二郎、高島直之氏など)会議で、都や代理店の博報堂電通から、次のような要求がありました。
・ビデオに映っている知花昇一や基地反対の映像を削除するようにという要求が都側からあった。これについては、キュレター側が要求を拒否して、現在も上映中の模様。
・展示の一部に、沖縄関係の資料を置いたが、その内容が政治的で、イメージが悪いので、他の資料と混ぜるようにという要求が電通博報堂側からあった。これについては、作家側が「同意」して、沖縄の料理の本などを加えた模様。
・公衆衛生法違反を口実に、展示作品の一部に利用しようとしたドリンク類の飲みかけを撤去するようにいわれ、撤去した模様。
・興行法違反を口実に、ビデオモニター前に設置された椅子を撤去するように要求されて、撤去した模様。

主催者側は、作家の了解を得ていること、法律に則った指示なので「検閲」ではないと、主張しているらしい。しかし、ビデオモニター前に椅子を置いて座って見れるように展示している他の作品もあり、あきらかに嫌がらせである。
明らかに、東京都や代理店は、美術展に政治的なもモチーフが持ち込まれることを規制しようとしていますこれは、「検閲」以外のなにものでもありません。 「アートは非政治的だ」なんていう「常識」がまかり通っているのは日本ぐらいなものです。

(中略)

(小倉利丸・Art Strike Committee)

http://www.mitene.or.jp/~takaya/opinion/atopic.html


◇ アトピックサイト | NPO法人raco Research for Arts and Culture Okinawa
http://nporaco.net/category/atpick/


◇ 「アトピックサイト」展 | 現代美術用語辞典ver.2.0

「アトピックサイト」展
“AtopicSite”
1996年8月1日から25日まで、東京ビッグサイトで催された展覧会。柏木博をはじめ、建畠晢、四方幸子、高島直之、岡崎乾二郎がキュレーションを担い、国内外から40名あまりのアーティストが参加した。主催したのは東京都で、同展はもともと青島幸男東京都知事(当時)が中止した世界都市博覧会の補償事業として行なわれた。従来のパブリック・アートとは異なるかたちで、都市とアート、社会とアートについての問題を提起しようとした画期的な展覧会だったが、その一方で展示された作品に対して検閲行為が行なわれたとして物議を醸し出した。「アトピックサイト」とは、特定の場所ではない、どこでもない場所を意味しているが、実際、同展では会場に限定されないアート活動が数多く紹介された。タジキスタン出身のヴァディム・ザハロフは100人の子どもたちから叶えたい夢を聞き集め、例えば会場に仮設した土俵で力士が相撲をとったり、東北の無人島で地元の子どもたちとキャンプをしたり、いくつかの夢を実現させてみせた。また、若手作家が集められた同時開催の「オン・キャンプ/オフ・ベース」展では、展示作品を外部に持ち出すことを想定してトラックのコンテナをそのまま展示ブースにした。ここには、会場の外で行なわれている活動を会場に持ち込み、会期終了後に再び元の場所に戻って活動を継続させるという企画者のねらいがあった。だが、その反面、会期前から沖縄で行なわれたアーティスト・イン・レジデンスで、アーティストのシュー・リー・チェンと地元住民のあいだで確執が生じたり、会期中にはそのプロジェクトの成果を発表した展示内容の政治性を危惧した主催者からの規制が強化されたり、あるいは屹立する男性器を露出させたシェリー・ローズによるバルーン彫刻が「猥褻」だとされ、急遽「オムツ」をはかされたり、アーティストとキュレイター、主催者である東京都、そして運営を委託された広告代理店のあいだで数々の問題が生じた。インターネットが飛躍的に社会のあり方を変え、しかし検閲の問題は依然として何も変わっていない現在、同展の意義と限界はいま一度再検証されるべきだと思われる。
著者: 福住廉

http://artscape.jp/artword/index.php/%E3%80%8C%E3%82%A2%E3%83%88%E3%83%94%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%88%E3%80%8D%E5%B1%95


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特集/暴力としての文化、文化としての暴力―カルチュラル・スタディーズをめぐって
カルチュラル・スタディーズ、その可能性とあやうさと●伊藤公雄
・暴力にとって文化とはなにか● 田崎英明
・暴動の系譜 ― 一九七〇年一二月二〇日、コザ ●冨山一郎
武装する根拠に到ること―山岡強一が遺した歴史性の作業をめぐって●崎山政毅
・自己への/新宿西口へのカルチュラル・スタディーズ●平井玄
・変奏する二つの記憶―韓国人元三菱徴用工被爆者の戦争の語り●松田素二
・「文化」についての語り―発話の位置の政治学に向けて●岡真理
・CSなんて知らないよ●上野俊哉
・「いかなる政治性も排除せよ」―アトピック・サイト展●小倉利丸
・アトピック・サイト展について●柏木博
・沖縄封じのアトピック・サイト展●大榎淳
多文化主義批判―多文化主義を超えて●徐京植
多文化主義批判―文化を語る前に● 鵜飼哲

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