Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

監視カメラと表現

◇ メディア・アートとしての映像 -自作に関わるノート - 飯村隆彦のメディア・アート

 ちなみに私は2006年マドリッドの国立ライナ・ソフィア美術館での「最初の世代:芸術と動く映像 1963-1986」展というビデオ・アートの初期20年あまりを特集する大規模な国際展に日本から唯一招待され、『FACE / INGS』(1974年)というビデオ・インスタレーションを展示した。この展覧会は主にビデオ・インスタレーションとテープ作品の歴史的な作品を回顧・特集するもので、ナム・ジュン・パイクやヴォルフ・フォステルの最初のビデオ・アート(1963年)から、またたく間に国際的に広がったビデオ・アートの重要な作品を網羅している。私の作品『FACE/INGS』は、1974年のパリ・国立近代美術館でのビデオ展に出品したもので、二台のカメラが距離を置いて向き合い、床面には双方向の矢印が描かれ、観客はその間に立ち、カメラを見るが、自らは後ろ姿しか見えない。言い換えれば、自分は後ろの頭のみ見えて、顔は他者によってのみ、見える。私はそこにビデオにおける「見る/見られる」関係のひとつの典型を見出した。今回はそれを壁に直接設置する監視カメラを使用することで、監視カメラが相互に監視し/される関係を結ぶことで、両者がともにキャンセルされることを明示した。いわば通常「隠された」監視カメラが現実に観客の眼前に「見える」ことで、それ自身ひとつの対象となった。 その間に介入する観客は、向かい合う2台の監視カメラの一方を自らの身体で「塞ぐ/隠す」ことで自己を明示する。--それも他者によって明示される。ここには2台のカメラの間の視覚的な弁証法がある。この関係を読みとることで、観客は監視カメラに「参加する」。記録されたインスタレーションのテープを見ると、不審そうな顔から、興味深い顔まで、多様な顔(と頭)が収録されている。この記録用のモニターも作品の一部として、2台のカメラがひとつのモニターの分割スクリーンに対面する形で配置され、観客が参照できた。

http://www.takaiimura.com/review/mediaart.html
http://www.takaiimura.com/homej.html


伊奈英次「WATCH」
http://www005.upp.so-net.ne.jp/eiji-ina/files/7p.html
http://www005.upp.so-net.ne.jp/eiji-ina/files/misima.html


◇ 五感でドイツ/アート/VISION2003 - Berlin Bau

MICHAL ROTHSCHILD。イスラエルで生まれ、NYで制作していた彼女は、そこでたまたま私の大学の助手と出会い、ベルリンでの展覧会に招待された。一緒に展示をやることとなった私達は彼女の作品を自己紹介代わりにみることになった。 
Vision 2003』と題された作品。ビデオインスタレーションだ。 画面に、一瞬モニタ画面がずらりと並ぶコントロールルームが映る。その画面の一つに、吸い込まれる。エルサレム市旧市街の夜が写し出される。
奇妙な暗さ。ひとけが全くない。そこを、カメラが走って行く。これは車のスピードだと彼女は言うが、なんだか見ているうちに、体の中を焦燥感がぞぞぞと走る。頭のてっぺんから、映像に吸い込まれそうになる。走っている映像なのに、なんだか追われているような、追われている自分をまた遠くから傍観しているような奇妙な感覚。ビデオ画面がまるで透明な膜で、その内側と外側に私がいるようだ。
変。吸い込まれる。
そしてもうひとつのビデオ映像。巨大なコントロールルームの映像が横長の画面に2つ写し出される。機械音。
画面が切り替わる。画面の左側にはコントロールルーム、もう一つは監視員のひとりのバストショット。監視員が話す。
エルサレム市はデリケートな街なんだ。』
『道にいる全ての人達は見られている』
見られている?見張られている?
しかし彼はこれは安全のためのコントロールで見守られていると言わんばかりだ。
『これらによって彼等は身の安全を与えられているんだ。』
みえない見張り。みえない視線。

http://www.berlinbau.net/art/Michal.html


◇ 監視カメラの映像を傍受して公開するアート - WIRED VISION

 これは、街を車で走り回って脆弱な無線ネットワークを探すウォードライビング(日本語版記事)のビデオ版と考えるといい。カメラが撮影した映像をワイヤレスでテレビやコンピューターに送信する最近の監視技術は非公開のものと思い込んでいる人が多いが、それが思い込みにすぎないことを知らせるのがテラン氏の使命だ。

 店舗内のCCTV(閉回路テレビ)カメラ、個人用のインターネット監視システム、さらには乳児のベッドをモニターするカメラ、テレビ信号用のトランスミッターなどに組み込まれた装置が、2.4GHzの周波数帯で信号を送信している。2.4GHz帯は許可なしで利用できる周波数帯域で、確固とした公有財産だ。カメラが正しく設定されていない場合、適切な機器を持った人が無線が届く範囲に入ると、カメラの映像を容易に受信できる。

 監視を逆手にとったこのパフォーマンス・アートのために、テラン氏は厚手の黒いコートの下にスキャナーとマイクを潜ませて、見えないはずの映像の断片を求めて街中を黙々と進む――そして、集まった人たちにそうした映像を見せるのだ。

 「誰も自分で使っている技術のことをきちんと理解していない。機械を設置して、(そうとは知らずに)あたりに映像をたれ流す張本人になっている」と、テラン氏は語る。

 「このように、技術が境界を作り出すという状況がある。一方には人々が決めた境界があり、もう一方には無線信号の届く範囲によって定まる境界がある。つまり、電波の広がりによって都市の地理的区分が再編されているのだ」

 2.4GHzの周波数帯はゲーム機のコントローラー、コードレス電話、ブルートゥース対応機器など、各種機器の通信や電子レンジに利用されているが、とくに増えているのが、カメラで撮影したセキュリティー画像を家庭用パソコンに無線で送信し、インターネット経由で遠隔地から見られるようにするシステムだ。メーカーによると、こうした機器の通信範囲は約30メートルに及ぶことも多いという。

http://wiredvision.jp/archives/200511/2005110802.html


◇ SHIFT | PLACE | DIA アート・センター

もうひとつのギャラリーではブルース・ナウマンのビデオ作品が展示されている。彼はおそらく、今日のアメリカ人アーティストの中で最も有名なアーティストであろう。彼のスタジオに夜用の監視カメラを設置し、夜の間に発生する出来事を録画する、というこの作品。「MAPPING THE STUDIO」という題名がついており、7本のビデオ映写から成りギャラリーの壁に映し出されている。この映写からは、例えばねずみがチョロチョロする、といった様な彼のスタジオ内で発生する微妙な動きさえも見つけることはできない。そしてこれこそがまさに、5時間以上にも及ぶ時間の中で発生したことなのだ。ナウマンは、このビデオを瞑想の術として見続けたという。

http://www.shift.jp.org/ja/archives/2002/04/dia_center_for_the_arts.html


◇ Kunstfabrik am Flutgraben (クンストファブリーク・アム・フルートグラーベン) - PEELER/ベルリンアート便り 第4回

2007年3月に展覧会を行ったアーティストのゲオルク・クライン氏に話を伺った。彼は、監視塔がEU周辺国境警備団体(もちろん架空の団体)の本部という設定で、入り口では監視団体の加入を呼びかけるチラシを撒き、二階では監視カメラとセンサーを設置し、空気の振動を利用したサウンドインスタレーションを、三階ではEUの国境付近を撮影した映像からなるインスタレーションを行った。

http://www.peeler.jp/column/berlin/0708/index02.html


YouTube - *OFFICIAL* CCTV MUSIC VIDEO - The Get Out Clause - Paper
http://jp.youtube.com/watch?v=98u1HuqS7Nk
以前話題になった例のPV。


◇ 貧乏バンド、監視カメラでPV制作(BARKS) - Yahoo!ニュース

「俺たち、金をかけずにかっこいいものを作りたいって考えてたんだ。それで、監視カメラの前でプレイして、後で“情報公開の権利”を主張して映像を返してもらえばいいじゃんって思いついたんだ」

彼らは、マンチェスター市内にある何十もの監視カメラの前にマイク・スタンドや楽器(ドラム・キットまで)を持ち込みパフォーマンス。ロケーションは路上や川べりから建物の中、果てはバスの中にまでおよんでいる。

彼らはその後、カメラを所有する会社に手紙を書き、撮影された映像(全体の1/4)をゲットできたそうだ。それをつなぎ合わせ、立派なPVを完成した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080509-00000910-bark-musi


◇ Graffiti artist Banksy pulls off most audacious stunt to date - despite being watched by CCTV | Mail Online
http://www.dailymail.co.uk/news/article-559547/Graffiti-artist-Banksy-pulls-audacious-stunt-date--despite-watched-CCTV.html
バンクシーの作品@ロンドン。


◇ Pictures: Banksy's latest graffiti art... and his greatest hits - mirror.co.uk
http://www.mirror.co.uk/news/top-stories/2008/04/17/pictures-banksy-s-latest-graffiti-art-and-his-greatest-hits-89520-20386122/
同じくバンクシーの作品。
CCTVとは、レム・コールハース(OMA)の建築で話題の中国中央テレビ局ではなく監視カメラのことです。


◇ ドミニク・レイマン 《Yo Lo Vi》 2006年@液晶絵画 Still/Motion
http://www.nmao.go.jp/japanese/still_motion/works/win06.html


◇ ARTISTS Dominik Lejman - DiVA Fair Miami 06 - Exhibitors
http://www.divafair.com/gallerymiami06.php?fid=201&aid=208&id=133
同じくドミニク・レイマン。ŻAK(ベルリン)の作家です。


◇ Dominik Lejman - time based painting
http://www.lejman.pl/lejman_movie1.html
http://www.lejman.pl/
ドミニク・レイマンの「time based painting」。