Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

ヘア・スタイリスティックス『CCCD』

Hair Stylistics『Custom Cock Confused Death』

構想7年、制作期間4年...
Hair Stylistics(中原昌也)のデビューアルバム、ホントに完成(泣)!唯一無比、日本の暗部を直撃する怒涛の22曲、63分17秒!
ソニックユースやベック、ジョンスペの来日公演でフロントアクトを務め、ファインアートの奇才マイク・ケリーやポール・マッカーシーとの共演など、音楽からアートまでジャンルを横断する活動を続け、作家・映画評論家としても活躍。小説では『三島由紀夫賞』も受賞。日本のアンダーグラウンドシーンで最も重要なアーティストの一人、中原昌也(ex.暴力温泉芸者)が覚醒されます。ノイズ/ヒップホップ/ファンク/コンテンポラリー・ミュージックの要素が独自のユーモアと毒と愛情で変換されたサウンドは、他の追随を許さないオリジナリティーに溢れ、既成の価値観を覆し、聴く物の魂を直撃することでしょう。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/1875753
http://www.amazon.co.jp/dp/B0001U1LIE


Hair Stylistics − Custom Cock Confused Death - et uhct sud [感想文群]

 タイトルは言うまでもなくCCCDをもじったもので*3、流通がエイベックスだからこそ余計に皮肉が効いていてさすがといったところですが、しかしまあこれがメジャー流通に乗ってしまうんだからやはり細野さんの名前は偉大というか。

 よく、デビューしたての若いバンドがインタビューなんかで「ジャンルにとらわれない音楽をやっていきたいです!」とかなんとかのたまっていますが、そういう詰まらない冗談はこのアルバムを聴いてから口にして貰いたいものです。既成のジャンルにとらわれないためには、一体どれだけの逸脱をしなければならないのか、その耳で思い知れと。

 このアルバムは、2004年時点では紛れもなく支離滅裂な作品でした。ノイズミュージックと聞いて多くの人が思い浮かべるような音*4とも趣向の違ったアルバムで、まさにジャンルレスな音楽とはこのことだと言わんばかりの内容でした。

 しかしジャンルとは音楽の数だけ増えていくものですから、いずれこれも何らかの枠組みに回収されていくのでしょう。すると、ジャンルレスであり続けるためには、最終的には雑食性を極限まで高めるか偏食性を極限まで高めるかしかないのでしょうね*5。それは甚だしく息苦しいものであるのかもしれません。

http://d.hatena.ne.jp/stereographika/20061030/1162242201