Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

『写真の存在論』刊行記念 荒金直人トークイベント(六本木店:2009年12月2日) - 青山ブックセンター

写真論の古典であるロラン・バルトの『明るい部屋』。そこで問題になっていたのは、結局何だったのか。写真は過去の存在を――その存在の意味ではなくその存在を――経験させる。もしそれが写真の本質なのだとすれば、その場合の「経験」とは何なのか。そして「存在」とは何なのか。例えば、銀塩写真からデジタル写真への移行は、その経験を変化させたのだろうか。あるいは、むしろ「存在」自体の変化に目を向けるべきなのか。また、写真経験は意味の経験ではないというバルトの発想は、「写真は過去を思い出させはしない」という彼の考えにもつながる。しかし、記憶や記録と写真との関係ついての考えを深めることで、つまり「存在の経験」としての写真と「経験の経験」としての記憶の関係について掘り下げることで、見えてくるものもある。結局、写真経験とはいかなる経験なのか。それは存在に「向かう」経験なのではないか。――写真経験について、皆さんと共に考えたいと思います。

http://www.aoyamabc.co.jp/10/10_200912/2009122.html