Übungsplatz〔練習場〕

福居伸宏 Nobuhiro Fukui https://fknb291.info/

「クリエーターズ&パフォーマーズライト」大村益三(美術家) 2004年10月4日

 したがって著作権が発生する ためには、まずそれが著作物であるか、非著作物であるかを、この循環論法によって峻別しなくてはならない。そしてその結果、著作権は著作物であると認めら れた物にのみ適用されるのであって、決して表現全般、知的労働生産物全般に適用される事を意味してはいない。素朴な形で信じられているように、知的労働を 行えばそれで自動的に著作権が発生するという事はない。あえて言えば、そこではただ著作権を得られる可能性が自然的に発生するというに過ぎず、先述の (C)の明記も、著作物の証明ではなく、著作物にしたいという心情表明以上の物ではない。

  著作権法上の著作物の定義、「思想又は感情を創作的に表現したもの」の一文は、近代的著作権法が成立したこの時代の芸術観の産物である。作者と観衆、芸術 と非芸術などの二分法は「表現=個人の内面の表出」を可能な物とし、「独創性」という信仰を発生させた結果、反復的な物を独創性の下位に置くようになる。 著作権法上での実演者の地位が低いのもここに根ざしている。また非芸術的表現、例えば料理やオリンピックの演技種目なども、「非芸術」であるために著作権 の対象外である。著作物であるかどうかの最終決定は、この近代的芸術観に合致するかどうかで決定される。

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